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チェスボードが建築になった。ジョージア「チェスパレス」が描く新しい観光のかたち
yankodesign.com·2026-04-15·DESIGN

チェスボードが建築になった。ジョージア「チェスパレス」が描く新しい観光のかたち

展開されたチェスボードそのものが建築になる。ジョージアのバトゥミで建設が進む「チェスパレス」は、2027年の完成を目指しています。チェス文化と建築デザインが融合した、新しい観光のかたちを提示するプロジェクトです。

建築の詳細

建築家イラクリ・エミリゼが手がけるこの施設は、チェス文化に深い関係を持つジョージアの象徴的存在となる予定です。外観にはパフォレーテッドソーラーシェーディングを採用し、リアルタイムで変化する光と影が白黒のグリッドパターンを生み出す仕組みです。

2階建てで深さ60メートルの構造物には、トーナメントホール、チェス図書館、ホテルの客室、展示スペース、ジム、学習室が配置されます。入り口にはコルテン鋼の抽象的な彫刻が設置され、具体的なチェスの駒ではなく象徴的な表現が選ばれました。政府の競争を通じて受注されたこのプロジェクトは、単なるテーマパークの看板を超えた建築としての存在感を目指しています。

画像 出典:yankodesign.com

専門施設としての可能性と課題

チェス特化の施設という性質上、トーナメント、図書館、客室、展示スペースを一体化することで、従来のホテルや一般会場でのイベントとは一線を画す体験を提供できます。インストラクターやコーチが拠点とした新たなプログラム展開も検討されており、競技者にとっては専門性の高い環境が整うことになります。

ただし、バトゥミが国際的なチェスの目的地として成功するかは、訪問者数や運営の質次第です。チェスに特化した施設であるため、一般観光客への訴求力は限定的になる恐れがあります。建設コストや維持管理の問題も懸念材料です。

画像 出典:yankodesign.com

編集部の視点

チェスボードの視覚的モチーフをそのまま建築言語に変換するという発想は、テーマ特化型施設の新しい方向性を示しています。チェスの駒を直接的に再現するのではなく、グリッドと光の抽象表現に留めた判断は、キッチュさを回避する建築家の美意識を感じさせます。完成後、この野心的な建築がチェスの聖地として機能していくのか注目して紹介しました。